１．平成24年度 当初予算案について

 

（１）当初予算の概要

 

　平成24年度当初予算案は、「一般会計」で1兆1306億円、「特別会計」

「企業会計」を加えた「総会計」で1兆6051億円となっています。

　「一般会計」は、平成23年度当初予算比で△18億円（△0.2％）とほぼ

横ばいです。

 

　歳出は、「総合計画」を基本としながらも喫緊の課題を考慮し、重点対策

として5つの分野を取り上げています。

 

　①雇用対策

　②少子化対策

　③地震・津波対策

　④エネルギーの地産地消への取り組み

　⑤内陸フロンティアの魅力ある地域づくり

 

　いずれも“元気な静岡県”を創るためには大切な事業で、①②は中長期的

に見て非常に大きく重たい課題。また③は直面する喫緊の最優先課題です。

　また④⑤は浜岡原発停止や新東名の開通を踏まえた、静岡県ならではの

施策です。

 

　歳入では、県税収入はH23年度並みを見込んでいます。

　自治体の財政は、国の地方財政対策に左右される部分が多いのですが、

「地方交付税」や「臨時財政対策債」に頼らない“自立・自律”した財政運営

が必要です。

 

★静岡県平成24年度当初予算案（静岡県のサイト）

　https://www2.pref.shizuoka.jp/all/file_download1010.nsf/pages/F623A283AB30E7ED492579A4002B71F1

 

･････････････････････････････････････････････････････････・・・・・・・・・・・・・・・

 

（２）川勝知事の提案趣旨説明

 

定例会開会日に行われた、重点5分野における知事の説明は次のとおりでした。

 

①雇用対策（事業費439億円）

 

　12月の有効求人倍率は0.68倍と改善傾向ですが40ヵ月連続で1を下回る

厳しい状態です。大学生の就職内定率も11月末で60.2％と、昨年を上回る

ものの低水準です。

　こうした状況を受けて、雇用対策を最重点におき、「就職フェア」や雇用の

ミスマッチ解消事業に努めていきます。

　また、3万人の雇用創造を目標とした「雇用創造アクションプラン」を1月に

策定しましたが、これに基づき、「成長産業の育成」や「資金調達支援による

経営力強化」などを行うほか、「就労支援による人材供給」を進めていきます。

 

②少子化対策（事業費127億円）

 

　平成22年の出生率は1.54で、平成16年の1.37を底に回復基調となってい

ますが、人口維持水準の2.07には程遠い状況です。

　妊娠期の母親への相談支援体制の充実や、子育て支援への助成、子ども

医療費の助成を拡充するほか、市町と協力して待機児童の解消を進めます。

 

③地震津波対策（事業費236億円）

 

　県の津波対策は前倒しで実施します。また市町の津波対策への助成はこ

れまでの補助上減額を撤廃し拡充するなど積極的に支援していきます。

　第4次地震被害想定は、国の調査に基づき、新たな災害要因の分析や

被害予想を取りまとめ、来年6月を目途に策定します。

 

　岩手県大槌町と山田町の災害廃棄物（ガレキ）受け入れは試験溶融の

結果をすべて公表し、安全性を示すことで県民の理解を深めつつ、市町と

連携してできる限りの協力をしていきます。

 

④エネルギーの地産地消（事業費21億円）

 

　太陽光発電設備の導入支援制度を拡充するほか、農業用水路を活用

した小水力発電導入も支援します。

 

⑤内陸フロンティアの魅力ある地域づくり（事業費41億円）

 

　4月14日の新東名高速道路開通にあわせ、ＩＣ付近の工業用地開発調査

や観光交流の促進など新たな地域づくりを進めます。

 

※なおこれらの取り組みを「現場主義」で進めるため「移動知事室」を始めます。

 

･････････････････････････････････････････････････････････・・・・・・・・・・・・・・・

 

（３）行財政改革について

 

　行財政改革については「外郭団体や出先機関等の改革」、「ファシリティマネ

ジメントの導入」を進めるとしていますが、浜松市に比べるとまだまだ不十分です。

 

　最も懸念するのは「県債残高」です。

 

　「一般会計」の県債発行額は前年比63億円増の705億円。これとは別に

「臨時財政対策債」があり、前年比20億円増の1220億円です。

 

　県が管理指標にしている「通常債」は平成23年度末見込の1兆8821億円

から、平成24年度末には1兆8339億円に減る見込みですが、「臨時財政対策

債」などを含めた一般会計全体では、2兆5499億円→2兆6105億円と増える

見込みです。

 

　「臨時財政対策債」は “役所の理論” では「交付税に換わるもので、県自ら

コントロールできないのでやむを得ない」ということですが、県民目線で見た時、

本当にそれでよいのでしょうか・・・。

 

　私たちの家計や企業の会計は、普通「入るを以て出ずるを制す」です。

　行政はどうやら「出ずるを以て入るを制す」のようですが、“身の丈”にふさわしい

おカネの使い方を心がけないといけません。

 

　ちなみに、12月議会で質問した「退職手当債」は「減らす」と言うものの、

来年度も60億円発行するようです。

（参考：23年度当初予算は100億円 → 2月補正で80億円に減額）

　こどもや孫におカネを借りているようなもので、こんなことでイイのか・・・と思います。

県債は引き続きキビしくチェックしていきます。

 

　現在、予算全体の総括的なチェックと、来週行われる「産業委員会」に向けて

所管分野の事業内容などを調べています。

　とりわけ、先月報告した「海外展開支援」については、みなさんからお伺いした

声を、しっかり政策実現できるようガンバリます。

 

*********************************************************************************